2023年9月18日
インボイス・電子マネーへのチャージ時に会計処理で注意することは?
インボイスが始まることにより、今まで以上に慎重に対応しなければならない点の一つとしてSuica、SAPICA、PayPayなどへのチャージと精算が考えられます。この論点について三段階に分けて説明をさせていただきます。
①:3万円未満の公共交通機関への支払いについて
以前の記事で触れた自販機特例(インボイスが交付されない&帳簿への記載で仕入税額控除が認められる)と同じ取り扱いですが、地下鉄やバスなどの公共交通機関に対して支払う3万円未満の交通費はインボイスが始まっても書類保存の要件はなく、帳簿に適切に記帳することで税額控除が認められます。
ただし、飛行機の航空券はこの規定に当てはまらないため、金額を問わず航空会社が発行する領収書の保存が必要ですのでご注意ください。
②:3万円基準が廃止
これも以前の記事で載せましたが、今までは「3万円未満の経費」であれば領収書の保存がなくても帳簿へ適切に記帳することで税額控除が認められていました。この規定が令和5年10月1日より廃止されますので、今後は例えば5,500円の備品や3,300円の飲食代などでも領収書の保存が必要となります。
③チャージをした時の会計処理と税務リスク
チャージした時の本来の会計処理は前払金として計上しておき、それを使用した時に経費科目に振り替える。というのが正しいのですが、チャージ頻度が少なく、実際の使い道としても少額の支払いに充てているということからチャージ時に旅費交通費などで経費処理しているという事もあり得ます。私見ですが、今まで(上記②が廃止されるまで)はそれでも税務リスクは低かったかもしれませんが、下記の点からも今後はある程度厳密な対応を検討しなければなりません。
■今までは1万円のチャージをして少額の支払いに充てていたという事であれば領収書の保存がなくても多少なりとも税務折衝はできた(チャージ金額をまとめて高額な支出に充てている場合や個人的な支出に充てているなどであれば別ですが)。
■今後、Suicaなどへチャージしたものが全て3万円未満の交通費に充てられているのであれば上記①により領収書は不要だが、交通費以外の支出に充てている場合は金額の多寡にかかわらずインボイスの保存が必須(上記②)。少額だからという論点は基本的に通らない。
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仮に1万円をチャージし、結果的に3千円の交通費と7千円の消耗品に充てた場合、チャージ金額を管理していないとき(1万円のチャージ時に旅費交通費などで経費処理したとき)に想定される不利益は下記論点でしょうか。
■7千円の消耗品領収書が保管されていなければこの消費税が認められない。
■7千円の消耗品領収書からも経費処理した場合、チャージ時に1万円の経費処理をしているため二重計上になってしまう。
■1万円を旅費交通費として処理して完結させたとしても、チャージの頻度が多く、チャージの累計金額が多額であれば「そんなに公共交通機関の利用が多いのか?」という疑義が入る可能性がある。
結果、地下鉄・JRなどで使用した金額とそれ以外で使用した金額を管理し、その金額とチャージ残高が合わない場合は差額をどのようにするか等の検討も必要となってきます。
チャージが多ければ多いほど税務リスクや対応が煩雑になりますので、どのように管理・処理していくかをご検討ください。
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佐藤友一