2023年9月16日

インボイス・振込料の取り扱い【買い手の立場で支払うケース】

インボイスの実務的な対応について、前回は売り手の立場として売掛金の入金時に差し引かれる振込手数料の取り扱いについてご説明しました。今回は買い手(経費を支払う側)の立場として振込料を支払うケースとそれぞれの取り扱いについてご説明いたします。

 

改めてですが、経費を支払うときに生じる振込料の支払方法(負担方法)は下記のいずれかによるものと考えられます。

(1):金融機関の窓口で振込依頼をするとき。

(2):ATMで支払いをするとき。

(3):ネットバンキングで支払いをするとき。

 

これら支払方法の違いによってインボイスはどのような取り扱いになるのか確認していきましょう。

 

(1):金融機関の窓口で振込依頼をするとき


この場合、金融機関が発行するインボイスの保存が必要となります。

この記事を書いている令和5年9月16日はインボイスが始まっていないので現物を確認できていませんが、おそらく各金融機関の振込依頼書の様式が変更され、それぞれの金融機関の登録番号が載ってくるのかと考えられます。

支払者はその保管が必要となりますが、これは現時点でも保管されていると思われますので新たな負担が生じるものではないですね。

 

(2):ATMで支払いをするとき


この場合、金融機関はインボイスの交付義務がありません。そのため支払者においても必然的にインボイスの保存が不要となります。

これはいわゆる自販機特例によるものであり、3万円未満の自動販売機や自動サービス機による商品販売等はインボイスの交付が免除されるのですが、ATMによる入出金・振込などの手数料はこれに該当するためです。ATMの控えに登録番号や消費税率などを載せるスペースもないでしょうし、自動販売機はそもそも領収書が出ないですしね。

1件当たりの振込手数料が3万円以上になることはありませんのでこの特例に当てはまることになります。

 

しかし、下記2点について注意が必要となります。

 

①帳簿への記載は必要

→厳密にはATMの場所などを帳簿に記載することが求められています。「〇〇銀行△△支店」程度で良いとのことですが、こんなのをいちいち入力するのは面倒ですね。これもどこまで浸透するか、また、実務上どこまで問題ないという扱いになるかは注視していきたいと思います。

 

②自販機特例にはコインパーキングによる駐車場代は含まれない

→細かい論点は省きますが、結論としては何か負担が増えるものではありませんのでご安心ください。コインパーキングで料金を支払うときに領収書が出てくると思いますが、それを保管すれば良いだけです(帳簿の記載はもちろん必要ですが)。今までも領収書の保存をされているはずですので、特段気にされなくても良いですね。「そういう区分があるんだな」程度で認識していただければ十分です。

 

また、自販機特例のようにインボイスの交付義務が免除される取引(帳簿への記載のみで仕入税額控除が認められている取引)は他にもありますが、これは別の記事にて解説したいと思います。

 

(3):ネットバンキングで支払いをするとき


この場合、(1)と同様に金融機関が発行するインボイスの保存が必要となります。

今日現在(令和5年9月16日現在)ではまだ確認できていませんが、これは各金融機関によって発行の方法が異なるものと想定されます。

例えば総合振込や給与振込をしたときの依頼書に登録番号などが載ってくるケースも考えられますし、手続きの都度インボイスが別途発行されるケースも考えられます。これは10月になってから実際に振込を行ってみて、その金融機関の対応に合わせる他ないですね。

 

 

インボイス開始まで後2週間。10月から混乱や取引先などへの各種問い合わせが殺到するのが目に見えていますね。。。皆さん、頑張って対応していきましょう!

 

札幌で税務顧問や相続税について税理士をお探しの方はぜひお声がけください。

佐藤友一