2023年8月3日
インボイス・仕組みと実務上の影響について(経過措置の概要も含めて)
10月1日からインボイスが始まるにあたり、様々な検討をされている方もふわっとしたまま現在に至る方もいらっしゃると思います。
来年1月に電子帳簿保存法の改正もあるため、その論点と混ざってしまっていてもおかしくありません。
まずはこのインボイスにあたり、複数回に分けて制度の仕組みや対応について配信をさせていただきたいと思います。
なお、ここでお伝えするのは一般的なイメージですので、実際には個別論点も多々出てくるかと思われます。個別打ち合わせにつきましては顧問先の税理士さんとしていただきますようお願いします。
【インボイスの仕組みについて】
国の税収増のための制度?ですが、主観的には最終的に消費税の免税事業者の排除を目的としており、免税事業者に支払う消費税を認めない→免税事業者に費用を支払う会社にその税負担を求める(負担が増える)→免税事業者と取引をすると経費負担が増えるため取引先から除外するか?という判断が必要になるかと思われます。
これは下記のイメージとなります。
・課税売上高が1千万円以下の事業者については消費税を国に納める必要がない。
→消費者や事業者がこの免税事業者に消費税を支払っても国には税収として入ってこない。
→一方、課税事業者が免税事業者に消費税を支払っている場合、現在の法律ではその消費税を申告時に控除できる(納税額が少なくなる)
∴免税事業者にもあえて消費税を納めてもらう。若しくは課税事業者の控除を認めなくする。という二者択一の制度です。
しかし課税事業者とか免税事業者とか記載しても分かりづらいですね、申し訳ありません。。。
自社に置き換えてイメージしていただけますと助かります。
【インボイスが与える実務上の対応と影響】
自社が消費税の免税事業者の場合
■売上
・特段何も対応をする必要はありません。
■経費
・特段何も対応をする必要はありません。
■懸念事項
売上先が消費税の課税事業者の場合、インボイスの取得(自分が課税事業者になる)を求められる可能性があります。
インボイスを取得しない場合は相手方の納税額が増えてしまうため、「それならば今後取引をしない」と言われてしまう事業なのか、その可能性は低いのかによってインボイスを取得すべきかどうかが変わると考えられます。
自社が消費税の課税事業者の場合
■売上(追加される項目)
・請求書にインボイスの登録番号、取引に係る合計金額と消費税率、税率ごとの消費税額を記載して取引先に送付する。
■経費
・受け取った領収書等がインボイスに対応したもの(登録番号などの記載有)であれば今までと変わらない。
・受け取った領収書等がインボイス未対応(相手方が免税事業者)の場合、経過措置を受けられるけれども納税額は増加する(令和5年10月~令和8年9月までの3年間は80%を、令和8年10月~令和11年9月までの3年間は50%を認めるという経過措置があります)。
↓
例えば「免税事業者に対して1年間で税込880万円の外注費(800万円の外注費と80万円の消費税)を支払っていた」場合は下記のイメージとなります。
・今まで:80万円の消費税を控除できた。
・R5.10~R8.9:80万円×80%=64万円しか控除を認めない(16万円の税負担増加)
・R8.10~R11.9:80万円×50%=40万円しか控除を認めない(40万円の税負担増加)
・R11.10以降:消費税は一切認めない(80万円の税負担増加)
長くなってしまいましたので今回はここで区切らせていただき、次回は上記の経過措置について少し深掘りしたいと思います。
なお、国税庁よりインボイスに関するチェックシートが出ていますのでリンクを貼っておきますので、よろしければご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-057.pdf
(出典:国税庁HP)
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佐藤友一